Q1 授業はどのような姿勢で受けるべきか?
A.ロースクールによっても、また科目や担当教授によっても、いい授業とそうでない授業があるかもしれません。
しかし、少なくともロースクールを卒業するためには受けなければいけないもので、相当時間を消費します。
学びとれることを全て学びとろうとする者と、
こんなものに意味はないと判断して時間を浪費する者との差は如実に出てきます。
無駄にせず、学びとりましょう。
Q2 自主ゼミはすべきか?するとしてどのようにするのがいいか?
A.自主ゼミと言っても、いろいろなやり方があります。
私が意味のない、時に有害と思うのは、「同じレベルの仲良い人が集まって、1つの問題を延々議論する」ようなゼミです。このようなゼミは、結局時間だけがダラダラすぎて、あまり理解も深まらず、気付いたら仲良い人と楽しくおしゃべりするだけのゼミになって、そのうち解散しがちです。
内容をある程度議論するのであれば、1人とても優秀な人に入ってもらうべきでしょう。OBOGの弁護士などがなってくれるゼミでは、その弁護士がその役割を担ってくれることになります。
ではどのようなゼミがオススメかといえば、例えば同じ問題(違ってもいい)を集まって2時間一緒に答案を書くゼミ、あるいは答案を読み回して文章表現としてどうかという範囲で他の人から意見をもらうようなゼミです。
このようにゼミのやり方を工夫すれば、ペースメーカーや答案を書く強制力となり、十分有効でしょう。
Q3 予備校本や基本書はどう使って、どう選べばいいか?
A.私自身、大学在学中には六法を持たず、予備校のテキストを丸暗記していました。ロースクールに入学後、自分が何も理解できていないことに気づき、ひたすら六法の条文を読むようになりました。
そのような勉強を通じて感じたことは、基本書は条文の解説書であり、予備校本は基本書の参考書であるということです。大事なのは条文で、その解釈を示しているのが基本書です。基本書に書いていることは答案に書いても×にはなりません。しかし、予備校のテキストにいくら書いてていても不正確であれば、×になります。
このような観点から、個人的には、基本書を利用して本質的理解を深めることをお勧めします。
ただ、基本書と言っても、なかなか通読できないような分厚い本を読む必要はありません。そういう本は、授業の予習や理解できない部分を調べるとき用の本として使いましょう。
通読する本はむしろ薄めの本で構いません。その方が、むしろ記載されている内容は理解すべき基本に絞られています。これをしっかりと理解すれば司法試験合格には十分なのです。決して細かい知識や応用的な難問が問われるわけではないのです。
司法試験合格のために必要な知識や理解はみなさんの想像以上に基本的な部分に限られていて、むしろその本質的な理解が問われるのです。
また、司法試験は今は1500人が合格します。決してナンバーワンもオンリーワンも目指す必要はありません。そういう意味で、受験生の多くが使い評判のいい本を使うのが無難でしょう。特に、あまりに独自説が多いと、論証するときに、わざわざいったん判例をあげて批判しないといけません。逆に、学者の先生方が共著で書かれているような本は判例や一般的な通説に合わせて書かれていることが多いでしょう。
このような点を踏まえて、選ぶといいのではないでしょうか。
Q4 1日どれぐらい勉強すればいいのか?
A.司法試験は暗記だけで受かるほど甘い試験ではありません。
ただ、勉強しなくていいわけもありません。
授業がある日でも授業+数時間、授業がない日なら1日10時間程度の勉強は必要でしょう。
アウトプットできるだけの理解をしなければ、インプットしただけでは無意味ですが、
最低限必要なインプット=暗記があります。
そして、それ自体膨大な量であることも間違いありません。
上位ロースクールであれば、周りと合わせれば、自然と勉強量を確保できる環境になりますが、
そうでないなら自律心をもって、勉強時間をしっかりと確保しましょう。
Q5 苦手科目をなくすより得意科目を伸ばしてもいいか?
A.司法試験の本番で、得意科目だからといって点数を稼げるとは限りません。
これは結果論でしかないでしょう。
他方、本番で、苦手科目で点数を取るのは至難の業です。
司法試験に不合格となる大きな要因は、勉強量の不足と苦手科目の存在です。
苦手意識があると、どうしても勉強も後回しになり、勉強時間も減ります。
しかし、むしろこれをなくさなければ司法試験には受からないという意識をもって、
無理矢理でもやり続けましょう。
実際、解答があるような基本的な問題をひたすら解きまくれば、どこかで必ず苦手意識は薄れてくるはずです。
Q6 司法試験過去問(論文)はいつから、どのように解けばいい?
A.ロースクールに入学された皆さんは、司法試験合格を目指されているはずです。そうすると、そのゴール(法律家としては通過点ですが)に向かって勉強するわけですから、ゴールを知ることは何よりも大事です。
既習者であれば遅くても1年目の夏休み、未修者であれば2年目の夏休みまでに、必ず一度は解きましょう。必ずしも答案を書かなくても構いません。時間も図る必要はありません。調べながらでも構いませんので、問題文をしっかり読んで、解答を真剣に考えてみましょう。
その上で、出題の趣旨や採点実感をしっかり読んで、どういうことが求められているのか、これからどういう勉強をすべきかを読み取ることが大切です。
また、過去問を解く意味というのは常に確認する必要があります。
というのも、あくまで同じ問題は絶対に出ないわけです。それでも多くの過去問を解く必要があります。それは何のために解くかといえば、問題文を読んで、どのように考え、解いていくのか、求めているものがどのような考え方なのか、それを読み取り、訓練していくためにあります。決して正解を書けたか、書けていないかではないのです。
そういう意味でいえば、過去問を解いて答案を提出し、添削してもらい、コメントを見てやった気になってはいけません。きっちりと出題の趣旨や採点実感を読み解き、自分の解き方や考え方とどの部分がズレているのか、そこをおさえないといけないのです。
司法試験の論文というのは、決して細かい知識や応用した複雑な問題を問うものではありません。むしろ基本的な理解をしているかどうかを問うために、今まであまり考えたことのないような問題点を考えさせるものです。このような問題は司法試験の過去問しかありません。日本を代表するような実務家や教授が集まって1年がかりで作り上げた問題です。予備校の答練や模擬試験の質はしれていますし、この変わりのものというのは存在しません。
これらを十分に意識して、過去問を味わい尽くしましょう。
アウトプットから正しいインプットを身につけ、使える知識を習得していきましょう。
Q7 司法試験で求められてる力って結局何なの?
具体的には、司法試験過去問の論文式試験を解いて、出題の趣旨や採点実感を熟読して、自分で読み取ることが大切です。
ただ、あらかじめ頭出ししておきますと、究極的には、
その法律、条文を与えられた事例に適用して、結論にいたるまでの過程を論理的に説明、表現できるかどうか
です!
実務家になるに当たって必要なこともこれです。全て知識と知ってる必要などなく、むしろリーガルマインドを身につけて、あたりをつけながら条文を読み、解説本を読んで理解して適用できればいいのです。
これは裏を返せば、知識だけを暗記してもダメということを意味します。
司法試験が最難関と言われる所以はここにあります。大学受験なら極論圧倒的な勉強をすれば暗記だけでも何とかなります。多くの資格試験もそうでしょう。
しかし、司法試験はこれでは歯が立ちません。問われるのは法律というものの基本的な理解なのです。
司法試験委員としても、論点を暗記しているだけの受験生を合格させる気はありません。そこにいたるまでの論理的過程や今まで考えたことない未知の問題をいかに論理的に考えて結論を導けるかが問われます。
このような力を身につけるためには、延々とインプットしてるだけではダメです。使える知識を身につけるには、使い方を学ばなければいけません。答案を書くかどうかはともかく、事例問題を通じて(決して難しい問題を解く必要はありません)条文の使い方、論点・論証の使い方を理解して、何のためにの知識かを押さえて学ぶ必要があります。
「問題を解けるようになるまで問題は解かない」「過去問は一通り勉強して解けるようになるまでおいとく」という方がよくいますが、これは最悪の勉強方法です。せっかくインプットにかけた時間がかなり無駄に終わります。何のためのインプットかを意識しましょう。
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