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伊丹市立天王寺川中学校で講演しました!〜”SNSとの上手な付き合い方”〜

 昨日、ご依頼を受け、伊丹市の天王寺川中学校で、”SNSとの上手な付き合い方”というテーマでお話をしてきました。

 

 生徒数は800人を超えており、これまでお話ししてきた中でも過去最高の人数でした!

 体育館に800人以上の人が集まったのですが、先生方からお聞きしたところによると、コロナ禍で3年は集まっておらず、在学生は体育館に全校生徒で集まったこと自体、初めての経験とのことでした。貴重な機会をいただきました。

 1人ずつのスペースが十分にはとれず、なかなか聴くのも大変だろうなと思いつつ・・・。ただ、教員の方々も”脚をくずして楽な姿勢で””体調悪くなったら手をあげて”と促してくれていました。昔とは違う配慮をしていただいていて安心しました。こういうとき、昔は、子どもたちに体育ずわりをくずさないように無理矢理させたりしてて、それを子どもも大人も何とも思わないというのが普通の感覚でしたね。

 

 実際に行った講演の内容をご紹介します。


 大きなテーマとしては、SNSのリスクをちゃんと知ってもらった上で、上手く使ってもらおうというものです。

 10年前であれば、このテーマも違っていたかもしれません。当時なら、学校としても、むしろSNSの利用を推奨するような内容ではできなかったでしょう。

 しかし、現在においてSNSは日常生活とは切り離せないものですし、利用を禁止するなどというのも時代遅れです。子どもたちが生きる未来を考えれば、リスクをわかって使いこなすことが大切ですので、こういうテーマ設定で行いました。

 ただ、一方で、今現在のリスクだけをいくら伝えたところで、これも数年経てば時代遅れの知識です。そのため、時代の変化の流れと自分で学び考えていくことの大切さもお伝えすることにしました。

 SNSのリスクとしては、大きく3つに分けて解説しました。

 

 ざっくり言えば、

①犯罪加害者になるリスク

②被害者になるリスク

③それらを含むネット上の記録が永遠に残るいわゆる”デジタルタトゥー”という問題

です。

 

 SNS含むウェブ上の発信とその前提となる言動が犯罪行為に当たる場合というのは、正直、いくらでもあるのですが、特に、最近10代の子たちが起こしている炎上ケースに着目してご紹介をしました。

 

 あまりこういう部分を強調して強制するのは好みではないのですが、とはいえ知識として知っておいていただく必要もあると思いますので、改めて犯罪行為に当たりうる言動をお伝えしました。

 炎上ケースを見ていて、いくつか考えておくべきことを自分なりに4つピックアップしてみました。

 

 ①まずは大半が仲間内の悪ノリで行われているということです。

 冷静に動画を見れば、”面白くもない!””ダサい!”としか言いようがないのですが、その場のその仲間内ではそれが面白く感じたのでしょう。このような悪ノリによる行動であることを意識してもらい、もしそういう流れになったとしても止められる人間であって欲しいと伝えました。

 

 ②また、どうしても動画に映っている子が中心と考えられがちですが、実際には別にいる撮影者や投稿者がはやし立てているケースも多く、そちらが首謀者であることもあるでしょう。そういう人たちも共犯者として責任を負うことをはっきりとお伝えしました。

 

 ③さらに、ほとんどの子たちが「こんなことになるなんて思わなかった」とのちにコメントしています。つまり、自分の行動の結果を予測していなかったということでしょう。Instagramの24時間で消えるストーリーで限定公開すれば大丈夫という安易な考えだったりします。こういう発信をしたらどうなるか、いったん立ち止まって考えるように伝えました。

 

 ④最後に、承認欲求の暴走という観点から、「いいね」や閲覧数欲しさに暴走してしまう可能性があることをお伝えしました。これは一部のYouTuberやTikTokerが迷惑行為や虚偽の発信を塩ているように、大人でもいくらでもあることです。確かに、自分の投稿にいいリアクションがあると快感を覚えることは間違いありません。そこを否定することは違うと思いますので、承認欲求が誰にでもあることを認めつつ、コントロールしなくてはいけないことをお伝えしました。

 他方で、SNSを通じて事件に巻き込まれることも多いのが現状です。

 殺人事件に発展するような重大事件ももちろんありますが、ケースとしては少ないでしょうから、そのもっと入り口的な部分で、詐欺被害についてお話ししました。

 

 例えば、人気アーティストのコンサートチケットを売ってあげると投稿してSNSで若年者からお金を騙し取るというケースも多いですね。1件1件は、金額がそれほど大きくないだけに、報道されているような事件はほんの一握りで、泣き寝入りしているケースがいくらでもあるのではないかと思います。

 SNS含むウェブ上の情報に振り回されること自体も危険です。

 現代が情報過多であることは疑いようもなく、情報の選別が、子どもたちの人生を左右しかねないほど重要な能力となっていることは間違いないでしょう。これから無数に人生の岐路があるとして、その判断に必要な情報をそもそも選別できるかというのはとても大切です。

 

 そこで、デマ情報とリアルな情報を選別する観点を少し紹介しておきました。

 ここも結局のところ、自分の頭で判断できるようになることが何よりも大切でしょう。

 こういう場で、こういうテーマで話すと、どうしてもSNSの負の側面ばかりになりがちですが、まだまだ偏見があまりないであろう子どもたちに、視野の狭い話ばかりをするのは良くないと思っています。

 そこで、スマートフォンやSNSの歴史も少しお話ししました。

 このように歴史を振り返ると、わずか15年で世界が変わっていることに気づかされます。

 例えば電車の中での景色を見くらべても、15年前とは全く異なっているでしょう。

 この時代の流れのスピードが示すことは、5年後10年後はもうどうなっているか誰にもわからないということです。

 大人がどこまでついていけるのかもわかりませんし、子どもたちに先行して学び伝えていくことはやはりできないでしょう。だからこそ、子どもたちが自分自身で学びながら使っていくことが大切です。

 本日の講義も所詮今日時点の話でしかなく、2、3年後に話してては古い内容になっているでしょう。

 情報のアップデートとそれに基づく思考、その能力を身につけて欲しいと願うところです。

 これらの内容を踏まえ、自分なりにまとめた6つのポイントを最後にお伝えしました。

①インターネットの書き込みは記録に残る

②「トクメイ」でも特定される

③自分や人のことをむやみにのせない

④ノリでしたことをアップしない

⑤デマと本当(かもしれないこと)を選別する

⑥SNSの良さを楽しめるように!

 

 唯一無二の正解というものでもなく、リスクを知った上で、自分なりの使い方をしっかり考えてもらえるといいでしょう。


 今回は全校生徒への講演のため一方的な講義にはなってしましましたが、子どもたち自身にSNSの使い方を考えてもらうようなワークショップをできたらより効果的で、一人一人に落とし込めますね。

 

 もし学校関係者や企業の新人研修などで、SNSの取り扱いに関する講演や研修等の要望があればお問い合わせください。