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「ケースで学ぶ!クレーム&レビュー対応術」セミナーをしました!

 兵庫県保険医協会からお呼びいただき、「ケースで学ぶ!クレーム&レビュー対応術」というテーマでお話ししてきました。

 

 医療機関の場合、医療ミス等によって法的な責任が発生し、それに対して誠実な対応を求められる場合ももちろんあります。

 ただ、一方で、非がないか、あるいは非があるとしても些細なことにもかかわらず、不当・過大な要求を受ける理不尽なクレーマーにあうことも多いのが現実です。最近では、不満を持った患者が、直接クレームを言うのではなく、インターネット上のレビュー等に書き込むケースも増えています。特に、GoogleMapのアカウントにレビューを書かれるケースは増えており、相談を受ける機会も増えています。

 このような問題意識から、このテーマを選び、医師や管理者らに向けてお話ししてきました。

 


 

 クレーム対応を考える前提としては、医師等が行う診療行為の法的な位置づけの整理が必要です。ここではポイントのみを確認しますが、以下の通りです。

 ここでは詳しい解説は控えますが、クレームへの対応においても、診療行為に関連することには説明義務を負っていることには留意する必要があるでしょう。

 クレーム対応のポイントは色々とあるのですが、ここでもポイントを紹介しておきます。

 

 理不尽なクレーム対応へのポイントは、

①まずは言い分を傾聴して、相手の要求をきき出す(明確にさせる)

②こちらの落ち度や法的責任の有無を判断し、それを踏まえて対応方針を決める

③診療行為に関わる内容については、法的な説明義務をしっかりとはたすべく、一通りの説明をする

④面談する際は複数対応、時間を決めて伝え、録音やメモをする

⑤落ち度は明確にして謝罪しつつも、理不尽な要求に対しては明確に拒否する

⑥一線を超えた犯罪行為には警察を呼んで対応する

⑦個人、特にスタッフに任せず、管理者として方針を決めて対応する


 このようなクレーム対応に対して、インターネット上のレビューについてGoogleのシステムから見ていきましょう。

 

 そもそもGoogle検索をする際、固有名詞を検索する場合ももちろんありますが、どこかお店などを探す場合、「地名+〇〇」で検索をすることが多いでしょう。このような検索をした場合、Googleは上位にGoogle MAPを表示する仕様になっています。また、実際に訪問する際には、Google  MAPで道順を確認することも多く、Google MAPのレビューがそれだけ人の目に触れやすくなっていることに要注意です。

 

 このような「地名+〇〇」の検索を「ローカル検索」と言いますが、ローカル検索において上位表示されるかどうかは、

”物理的な距離” × ”キーワードなどとの関連性” × ”Web上の知名度”

の相関で決まると言われています。上位に表示されたい方はこれを意識しましょう。

 

 このようなGoogleMapのアカウントをGoogleビジネスプロフィール(Googleマイビジネス)と言いますが、ここには良くも悪くもレビューが書き込まれます。

 現実的には、悪いレビューは自然と書かれやすいものですが、いいレビューは働きかけがないと書いてもらえないものです。

 悪いレビューは明らかに違法なレビューもあれば、違法と言えるかどうか微妙なもの、違法とは言えないが管理者としては嫌な内容もあります。

 

 

 こちらの画像の4つのレビューの中で、違法とは言えないのはどれしょうか?!

 

 いわゆる「意見の論評」は違法とはなりません。例えば、ラーメン屋でラーメンを食べて、「まずい」と書き込んだとしても、それはその人の主観・意見でしかないのです。

 このような観点から考えると、1つ目は事実の摘示もなく、意見の範囲にとどまるものとして違法にはならない可能性が高いでしょう。

 

 このように違法ではなくとも管理者としては許容し難いレビューがあります。また、法的には違法と言える可能性が高いものであっても、その削除を法的手続きを進めて行うには時間的にも経済的にも負担がかかります。かといって、Googleに削除要請をしても、なかなか削除してもらえないことが多いでしょう。

 

 このような現実を考えると、そもそも悪いレビューを書かれにくいようにするにはどうすればよいか、書かれた場合に(Googleへの削除要請等はするとしても)どのように対応するかを考える必要があります。

 

 まず予防策ですが、例えば、落書きされやすいのは画像のどちらの街並みでしょうか。

 答えは簡単でしょう。既に落書きがたくさんされて、何ら管理されていない方が多少悪いことをしても大丈夫だろうという心理になるものです。

 

 このことから考えても、1番の予防策は、そのアカウントの管理者として登録し、アカウントを管理し、管理されている場所であることをアピールすることです。

 投稿者に対して管理者の存在を見せつければ、当然名、誉毀損等で訴えられるリスクが出てきますので、むやみには書けなくなります。

 

 それでもなお書かれた場合は、管理者としてGoogleへの削除要請をすることも場合によっては功を奏しますが、レビューに返信することが考えられます。ただ、返信をする場合には慎重に文面を考える必要があります。

 

 レビューへの返信をする場合、なすべきことは、書き込んだ投稿者に感情的に反論することでもありませんし、論破することでもありません。

 何よりも重要なのは、未来の顧客を意識することです。すなわち、そのやりとりをみた潜在的な顧客がどのような受け止め方をするかが重要です。レビューへ返信する意味は、これが全てと言っても過言ではなく、感情的な返信は無意味で、むしろ有害になりかねません。

 

 こちらに非がある場合はもちろん、少なくとも不愉快な思いをさせたような場合はその点を謝罪しつつも、事実関係の調査をし、確認できた経緯などを第三者にも伝わるように説明しつつ、必要な場合は再発防止に向けてどのような対応をとったのかを書くとよいでしょう。そのような書きぶりをすることで、潜在的な顧客に対して、”顧客と丁寧に向き合い、その意見に耳を傾け、常に改善していく姿勢を印象付ける”ことができるでしょう。

 ただ、もちろん内容によっては到底認めることはできない事実無根の内容が含まれている場合もあります。その場合には、是々非々で、謝罪するところは謝罪しつつも、否定するところは理由や根拠も示しつつ、キッパリ否定しましょう。もちろんその場合も、潜在的な顧客にどう見られるかを意識し、言葉遣いなどはできる限り丁寧であるべきです。

 あくまで、新しい顧客がそれを見てどう思うかを常に意識することが、レビュー返信のポイントなのです。

 

 一般企業向けですが、厚生労働省が「カスタマーハラスメント 対策企業マニュアル」というものを発刊していますので、マニュアル作成などを考えている方は参考にしてください。


 

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