【クリエイター必見】個人クリエイター等権利情報登録システムに裁判カードバトル「逆転無罪」を登録してみた!

1 はじめに

 2026年2月26日から、文化庁が新しい著作権システムの運用を開始しました。

 

 私は法律の専門家でもありますが、ボードゲーム(裁判カードバトル「逆転無罪」)のクリエイターとして、試しに、「逆転無罪」をこのシステムに登録してみました!

 

 そもそも「ボードゲームのルールに著作権ないのでは?!」という疑問はあるでしょうが、デザインや説明書の記載など著作権が発生している部分はあるので、その議論は別のブログ記事(「ボードゲームの法的保護(著作権や知的財産権など)を考えてみた!」)に譲ることとします。

 なぜあえて登録したのか、新制度とこれからのクリエイターが登録してみた方がいい理由について、分かりやすく解説します。

 

 

2 運用スタートした2つの制度と4月から始まる新制度

 2026年2月26日から、日本の著作権制度を大きく変える可能性のある2つのプラットフォームが動き出しました。

 1つが【分野横断権利情報検索システム】、【もう1つは個人クリエイター等権利情報登録システム】です。そして、これらを布石として、2026年4月から【未管理著作物裁定制度】がスタートします。

 

分野横断権利情報検索システム

 「この作品を使いたいけど、誰に許可を取ればいいの?」という悩みを解決する窓口として、音楽、書籍、映像などバラバラだった権利情報を分野・業界を横断する形で一括で検索できる制度です。著作権管理事業者や同団体への橋渡しとなります。”著作権のGoogle検索”のようなものです。

 

個人クリエイター等権利情報登録システム

 今回、私が裁判カードバトル「逆転無罪」を登録したのがこちらです。個人クリエイターが自ら、”私の作品はこれです!これを使いたかったらこちらに連絡してください”と国に、あるいは、国のシステムを使って宣言できるシステムです。

 あくまでも自称ですので、これに登録したからといって、法律的に著作権が認められるわけではありませんが、事実上、いつの時点で自分の著作物として宣言したか記録に残ることにはなり、トラブル時の証拠にはなり得るでしょう。

 

文化庁HP:「「分野横断権利情報検索システム」及び「個人クリエイター等権利情報登録システム」が運用を開始します」

 

未管理著作物裁定制度

 こちらは2026年4月からスタートする制度であり、①及び②と連動して運用されるものです。すなわち、「著作物等をこのように使ってほしい」、「使ってほしくない」といった、著作物等の利用可否に関する権利者の意思が確認できない場合に、権利者の許諾を得る代わりに文化庁の裁定を受け、補償金を支払うことにより、適法な利用を可能とする制度です。要するに、著作権者がどこの誰かわからない時にお金を払って適法に利用できるようにする制度です。

 ①や②に登録された著作物は、この「未管理著作物」からは除外されていくことになります。

 

 

3 個人クリエイター等権利情報登録システムの登録方法

 ここでは私が実際に登録してみた流れをお伝えします。

 まずは個人クリエイター等権利情報登録システムのトップ画面(画像①)にいきましょう。

 ここには「登録システム」「検索しシステム」「制度説明」があります。著作物を登録していくためには、「登録システム」からアカウントを作ることになります。個人か法人かで著作者としての情報を登録した上で、その後に紐づける形で著作物を登録していく流れになります。

 個人で著作者情報を登録する場合にはマイナンバーカードが必要です。これに対して、法人で登録する場合には、別途、行政サービスとの連携するGビズIDアカウントの登録が必要なようです。

 

 著作者情報を登録する際には、画像②のように「すべての著作物等を未管理著作物裁定制度からオプトアウトする」というチェックボックスが表示されます。これにチェックすることで、ここに登録した著作物は自動的に「未管理者著作物」には当たらないことになるわけです。

 著作者情報の申請する内容の確認画面が画像③です。SNS等を登録し、問い合わせ先を設定することができます。

 こちらの内容で申請し、登録されると、続いて個別に著作物の情報を登録していくことになります。登録する内容は画像④⑤をご覧ください。著作物の利用の可否について、「要相談」とするかどうかも選択できます。また、画像⑤の通り、ハッシュタグをつけて検索しやすくできることが可能です。

 

 著作物の登録が完了すると検索システムで検索して出てくるようになります。ボードゲームで検索した画面が画像⑥です、ボードゲームで検索したら1つしか出てこなかったので、ボードゲームでは日本で第1号かもしれません。詳細を開くと画像⑦の通り表示されます。

 ただ、「登録システム」と「検索システム」の利用には別途アカウントの登録が必要となり、「検索システム」の利用にもアカウント登録が必要なことには注意です。ここはちょっと面倒ですね。

 

 

4 クリエイター作品の登録のススメ

 今回私が登録したボードゲームの場合、ルールそのものはアイデアであり、現在の著作権法では保護されません。ただ、以下のような表現は著作物にあたる可能性があります。

・カードやボードのグラフィックデザイン

・カードやボード、説明書等の創作的な文章

 これについて、詳しくは、沢山の方にお読みいただいている「ボードゲームの法的保護(著作権や知的財産権など)を考えてみた!」をご覧ください。

 

 ボードゲームに限らず、厳密に著作権がどこまで発生しているかを判別するのは困難な場合もあります。著作物かどうか、どの部分に著作物性があるかは、最終的には、裁判所の判決が出ないと明確になりません。

 その前提で、あえて著作物がある前提で、作品を登録しておくことに意味はあるでしょう。

 厳密な意味での著作物性を問うことなく、裁判カードバトル「逆転無罪」という作品として登録することで、「私がこの作品の正当なクリエイターである」という記録をインターネット上に公開できるのです。

 また、新しく導入される「未管理著作物裁定制度」では、権利者の連絡先が分からず、14日間返信がない場合などに、文化庁の裁定を受ければ一定の補償金を払うことで適法にその著作物を利用されることがあります。”知らない間に誰かに使われていた!!という事態を防ぐためにも、あらかじめ「個人クリエイター等権利情報登録システム」に連絡先や利用の意思を表示しておくことが、自分の作品を守る防御壁になりえるでしょう。

 今後、どこまで浸透するかはわかりませんが、無料かつ少しの手間で登録は可能なので、個人クリエイターこそ利用しておいて損はないシステムだとは思います。

 このシステムが浸透して活用されるようになれ、「正当な権利者に連絡して、正当に使う」という流れがスムーズになります。

 クリエイターの皆さんもぜひ自分の作品を登録してみてはいかがでしょうか?

 

 クリエイティブな活動が法的な側面から阻害されないように、法律を味方につけましょう!