2026年4月1日から、離婚後の子どもの養育に関する新しいルールが施行されます。
特に長年議論されていた共同親権が導入されることになります。
全ての内容を具体的に確認したい方は法務省民事局が公表した「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」という冊子がわかりやすいので、参考にしてください。
URL:https://www.moj.go.jp/content/001449160.pdf
法務省:民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について〔令和8年4月1日施行〕
URL:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357.html
特にポイントを一部抜粋すると、
①離婚後の共同親権に関するルール
②養育費の支払確保に関するルール
③財産分与に関するルール
などが挙げられます。
これらの概要を確認しておきましょう。
①離婚後の共同親権に関するルール
結婚中はこれまでも父母が子どもの共同親権者でしたが、離婚後は必ず父母どちらかの単独親権としなければなりませんでした。これについて、4月1日以降は、離婚したあとも、本人らが協議して共同親権とすることができるようになります。
また、協議で決められない場合、離婚調停や裁判に移行することになりますが、それらの場合にも、家庭裁判所は父母双方の共同親権とすることができます。ただ、その場合は子どもの意思を把握するように努めなければいけません。また、虐待のおそれがある場合やDV等のおそれがある場合は、共同親権とはできず、父母いずれかの単独親権としなければならないとされています。
父母の共同親権とした場合の行使の方法については以下の通りです。
❶父母の一方が親権を行うことができない場合は他方が行います。
❷監護教育に関する日常の行為をするときや子どもの利益のため急迫の事情があるときは親権の単独行使ができます。
❸特定の事項について家庭裁判所の手続きで親権行使者を定めることができます。
❷について、具体的に見ると、こどもの転居、進学先の決定、財産の管理などは日常の行為に当たらないとされています。そのため、共同行使が必要となります。学校や児童相談所など、子どもに関わる事業者は配慮や理解をした上での対応が求められます。特に父母の意見が対立した場合など、子どもが不利益を被ることがないように対応することが必要でしょう。
なお、施行前に離婚してすでに単独親権としている場合、当然には共同親権になりません。親権者変更の調停等を家庭裁判所に申し立て、認められるだけの事情がある場合は、共同親権への変更が可能となります。
②養育費の支払確保に関するルール
通常、父母間で養育費の取り決め文書を取り交わしていたとしても、それが公正証書や調停調書などの公的な書類でない限り、いざ不払いが生じても、支払い義務を負う親の財産をいきなり差し押さえることはできませんでした。まずは裁判等を起こして、債務名義という公的なお墨付きを得ないといけなかったのです。
これに対して、改正により、養育費を請求する権利に「先取特権」と呼ばれる優先的な権利が付与され、債務名義を取得しなくても、父母の取り決めた文書をもとに、相手の財産を差し押さえることができるようになりました。
ただ、子ども1人当たり月額8万円が上限であり、施行される4月1日以降に発生する養育費に限ることに注意が必要です。
また、養育費の取り決めができていない場合であっても、最低限の養育費は暫定的に請求できるようになりました。こちらは子ども1人当たり月額2万円が上限ですが、支払いがなければ差し押さえることもできます。これまでは養育費を請求する権利はあっても具体的な金額が決まらないと請求できなかったのですが、低額とはいえ、最低限として当然に請求できるようになったのです。
なお、これまで婚姻費用や養育費の相場については、裁判所が双方の収入をもとに計算する算定表を公表していますので、こちらを参考にしてください。
平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
URL:https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html
③財産分与に関するルール
夫婦が離婚する際、結婚期間中に築いた財産については、離婚の際に、その名義を問わず、2分の1ずつに分けることが原則とされています。
これについて、これまでは離婚後、2年以内に請求しなければいけませんでしたが、期限が5年以内に延ばされました。
また、財産分与をする際の考慮要素が明確にされました。具体的には以下の通りです。これまでの判断と大きく変わるとは考えにくいところであります。それでも、具体的に明記されたことによって、これらの事情を詳しく主張していくことが大事であることがより明確になりました。
【例示された考慮要素】
❶婚姻中に取得又は維持した財産の額
❷財産の取得又は維持についての各自の寄与の程度 → 原則2分の1ずつ
❸婚姻の期間
❹婚姻中の生活水準
❺婚姻中の協力及び扶助の状況
❻各自の年齢、心身の状況、職業、収入
特に共同親権に関する内容は、日本としても、初めての大きな制度変更であり、派生的な影響も大きいでしょう。これからの運用をみていく必要があるでしょう。
もしご夫婦の問題はもちろんですが、影響を受けるであろう子どもに関する事業者の方含め、お悩みの場合はご相談ください。
【2026年3月6日追記】
裁判所のHPに改正後に利用できる申立書などの書式が新たにアップロードされました。
離婚調停の申立てにおいて、親権者を父母双方とする旨選択できるようになっています。
改正日以降はこちらを参考にしましょう。
https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_kazityoutei/syosiki_01_23/index.html