広告系法律事務所破綻問題、非弁提携広告会社が賠償金を支払う画期的な和解成立!

 大々的に過払金回収などの広告を出して集客しながら、依頼者からの預かり金を流用し、ついには破産してしまった東京ミネルヴァ法律事務所の破綻問題に関連し、元依頼者たちが当該事務所と業務提携をしていた広告会社を訴えていた裁判において、同社が相当額の賠償金を支払う和解が成立したとの報道がありました。

 

 報道はの内容は以下からご確認くさい。

【東京ミネルヴァ法律事務所破綻問題 依頼者と広告会社側が和解】(2026年1月5日午後4時02分)NHK ONE

https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015019201000

 

 そもそもこの問題は単なる法律事務所の経営破綻の話ではありません。

 広告会社が法律事務所を実質的に支配して弁護士を動かしつつ、当該法律事務所から広告料などの名目で利益を搾取し、法律事務所が破産してもその責任を免れていた実態があります。

 この事案でも2つのポイントがあります。

 

①弁護士の預り金流用の問題

 弁護士は、その仕事の性質上、依頼者からお金を預かったり、依頼者に代わってお金を受け取ったりする機会が日常的にあります。回収した過払い金などを「預かり金」として厳格に管理する義務が弁護士にはあり、これを事務所の運転資金はもちろん、外部の企業への支払いに充てることは、弁護士法に反するうえ、業務上横領に該当し得る重大な行為です。

 たとえ広告会社に実質的に支配されていたとしても、弁護士として許されない行為であることは言うまでもありません。

 

②弁護士法に反する非弁締結の問題

 では、なぜそうなったのか。

 弁護士人口が増え、競争が激化する中で、経営に苦しむ法律事務所や弁護士を、弁護士資格を持たない会社が取り込み、意のままに操ることで利益を搾取するケースがあります。このようなケースは昔からありますが、より増えている可能性があるでしょう。

 

 そもそも法律事務所・弁護士にお客を紹介してその紹介料を得ることは弁護士法に違反する行為です。

 そして、弁護士資格を持たない者が、弁護士と提携して、実質的に法律事務を行ったり、その対価を得たりする行為を「非弁提携」と言います。これは弁護士法に違反する重大な行為であり、刑事罰の対象にもなります。

 

  本件においても、広告会社が法律事務所を実質的に支配してコントロールしており、この非弁提携の究極の形態としての「乗っ取り」ではないかと疑われていました。

 

 

 このような事案について、法律事務所が破綻した場合に利益を受けている広告会社にまで責任追及ができるか、これは心情的には当然できて然るべきと言いたいところですが、法律的にはハードルがあります。あくまでも法律事務所とは別の法人であり、広告料として契約に基づいてお金を得ることは違法ではありません。仮に弁護士法に反するとしてもそれだけで直ちに法的な賠償請求を請求できるとは限らないところです。

 

 ただ、本件では、上記報道によると、東京地方裁判所から和解勧告が出された際、「広告会社の会長が法律事務所の事務員に直接指示して数千万円が振り込まれている実態から、法律事務所の財務は広告会社の制御下にあったと見ざるをえない」などとして、原告のすべての損害を補填すべきだと指摘されました。

 広告会社の会長が事務所の事務員に直接指示を出していたという点は、弁護士の独立性を根底から揺るがすものであり、弁護士が広告会社の「集客ツール」として完全に利用されていた構図が浮かび上がります。

 

 

 相談者やこのような事務所を完全に見抜くのは非常に困難ですが、少なくともテレビCMやインターネット広告が多く表示されているからと言って信頼できるとは限らない点に留意しましょう。それだけ広告費用をかけて集客していることの裏返しでしか

ありません。

 

 弁護士に依頼する場合、最も重要なことは頼関係です。

 

 まずは当然ですが担当する弁護士と実際に会って話をすること、それすらできない状況で、電話で少し話すだけ、あるいは、事務員と話しただけで信頼することは危険です。面倒かもしれませんが、実際に事務所に赴いて相談することによって、弁護士のキャラクターはもちろん、事務員の応答含め、事務所の雰囲気もよく分かります。そのような情報から、見えてくることもたくさんあるでしょう。

 

 

 

 本来、全く無関係で、そもそも困っている相談者や依頼者にこれ以上被害が生じないことを祈りつつ、少なくとも自分が担当する相談者や依頼者の信頼に応えられるよう、できることに尽力してきます。