”フリーランス新法”成立〜施行は公布後1年6月以内!〜

  2023年4月28日、いわゆる”フリーランス新法”が成立しました。正式名称は、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」。企業などから仕事の発注を受けるフリーランスを「特定受託事業者」として、保護の対象としています。

 今後、公布され1年6カ月以内に施行されることになります。

 

 以下、まずは報道内容を一部紹介します。


「…新法では発注者に対し、契約時に業務内容や報酬額を書面やメールなどで明示することを義務づける。報酬を相場よりも著しく低く定めることや、契約後に不当に減額することは禁止する。発注した仕事の成果を受け取った日から60日以内に報酬を支払うことも義務化する。

 また発注者には、フリーランスの育児・介護に配慮することや、ハラスメント行為に関する相談体制の整備を義務づける。

 違反した事業者には、公正取引委員会や厚生労働相らが指導や命令などを行う。命令に従わないなど悪質な場合は50万円以下の罰金を科す。…」


 

 政府が公表している概要と条文は以下からご確認ください。

 

「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案」

(内閣官房HP)

 

 概要

 https://www.cas.go.jp/jp/houan/230224/siryou1.pdf

 

 条文

 https://www.cas.go.jp/jp/houan/230224/siryou3.pdf

 

 

 法律が成立した段階であり、これから施行されることになりますので、今回はポイントだけをご紹介しておきます。

 

 特に今回法律で具体化されたことは、裏を返せばフリーランスの方々において、このような問題が現に起きているということを意味します。法律施行前でも、この内容は企業等と取引をする上で、意識的に注意・警戒しておくべき内容ということです。 

 

①保護される人は?

→従業員を雇っていない事業者・法人

 

②対象となる取引は?

→事業のために物品や情報成果物を作成したり、サービスの提供をしたりする取引

 

③守らなければいけない取引の相手は?

→上記事業者・法人に業務を委託する従業員を雇っている事業者・法人

 ※ B to Bの契約が対象

 

④取引の相手が負う義務の内容は?

業務の内容や報酬を書面(電子契約含む)で明示する義務

 ※ 従業員を雇っていない事業者同士の契約は基本対象外であるが、この義務は負う!

業務の給付を受けてから、60日以内に報酬を支払う義務

 

⑤相手にとって禁止されていることは?

事業者に責任ない場合に給付の受領拒否・報酬減額・返品を禁止

相場に比べて著しく低い報酬の額の定めは禁止

理由なく製品の購入やサービスの利用の強制禁止

→経済上の利益の提供をさせることを禁止

→事業者に責任なく内容の変更ややり直しを求めることを禁止

 

⑥違反した相手の責任は?

→公正取引委員会等が指導、勧告、公表、命令などをすることができる

 

 今後、施行に向けて細部がつめられていくことになるでしょう。施行される際には、改めて整理します。

 また、この法律が施行されたからといって、ただちにフリーランスが十分に保護されるというわけではありません。法律からスタートしてコンプライアンスを重視する上場企業から広がっていくことで意識が変わり、それが中小企業にも伝わっていき、社会の意識を徐々に変化させていくことになります。

 このような流れに任せるだけでは不十分であり、フリーランスの方々自身も自分を守るための法律や契約の仕組みを理解し、ブラッシュアップしていくことがとても大切です。