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判例の学び方①〜判例の意義と判例の射程〜

 法学や法律の勉強をしていて、よく分からないまま、なんとなく大事と思って学び始めるのが判例です。

ただ、判例の勉強には、当然に注意しておかなければいけないポイントがいくつかあります。

ここでは、それをまとめてみました。

 

①まず、前提として、裁判例の中には、最高裁判所によるいわゆる「判例」と、地裁や高裁レベルの裁判例があります。

前者と後者には極めて大きな差があることに注意が必要です。存在意義の大きさが格段に違います。

すなわち、最高裁の判例によって示された法律解釈における規範は条文に匹敵するほどの意義を持ちます。

実務上も判例がある論点については、基本的に判例の見解を前提として主張を展開せざるをえません。

もしあくまで判例と異なる自説を主張するのであれば、最高裁まで上告して判例変更をしてもらう覚悟で挑まなければいけません。

このようなことから、答案においても、判例と異なる法的解釈をする場合には、判例に言及し、それが妥当しない理由を示してから自説を展開しないと減点対象になるわけです。

 

これに対して、地裁や高裁の「裁判例」には、このような規範的な意義まではなく、あくまで事例判断として、異なる見解を示して問題ありません。

実務上も有利な「裁判例」のみを参照して自説を保管しますが、異なる見解の裁判例にはあえて言及しません。

 

このようなことから、それが最高裁の判例なのか、地裁・高裁の裁判例なのか、それを確認して、規範的意義が全く異なることを前提に学ぶ必要があります。

 

②次に、最高裁の判例にせよ、地裁・高裁の裁判例にせよ、

判例百選などの判例集に掲載される事例というのは、かなりイレギュラーな事例で、法律解釈が必要な部分においての限界事例です。

そのため、この印象が強いあまり、これを典型事例と思ってしまうと致命的な誤解になりかねません。

法律解釈がそれほど問題にならず、その条文がそのまま適用されるような典型事例というのはいくらでもあるわけですが、判例集には絶対にならないのです。

しかしながら、試験に出る事例は、ある条文については当然に適用される典型事例である一方で、ある条文の法律解釈が問題となるわけです。

典型事例にも正確に適用できる基本的な勉強が必要です。

 

③司法試験で毎年のように問われるのが判例の射程です。

これを理解するためには、判例そのものの理解が不可欠です。

 

そもそも付随的審査制のもとでは、裁判所の判断はその事案だけに対する事例判断であるのが原則です。

しかし、そうは言っても、裁判所が条文を解釈して、その解釈による規範を定立する場合や、

他の類似事例を意識し、あえて他の事案にも当てはまるような抽象的な言い回しをして判断をすることがあります。

その場合には、一定程度に抽象化された判断の内容が他の事例にも影響を与え、その事例に「判例の射程が及ぶ」ことになるわけです。

 

この判例の射程を理解するのは、まず事案の概要を踏まえた上で、そのような法的解釈をした理由に着目する必要があります。その理由が当てはまる事案については、同じ解釈が当てはまり、逆に理由が当てはまらなければ解釈も当てはまらず、射程が及ばないということになります。

 

具体的な作業としては、以下のようになります。

❶判例の事案、法律解釈の結論、その理由や根拠を確認する

❷問題となっている事案との相違点と一致点を抽出する

❸ア 本件事案と一致点はあるものの、重要な相違点があり、❶の理由や根拠が当てはまらないため、判例の射程は及ばない

 イ 本件事案と相違点はあるものの、重要な点で一致しており、❶の理由や根拠が当てはまるため、判例の射程が及ぶ

 

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H13.3 清風高等学校卒業

H18.3 京都大学法学部卒業

H20.3 同志社大学法科大学院卒業

H21.12〜 六甲法律事務所

兵庫県弁護士会法教育委員会、同子どもの権利委員会副委員長、同修習委員会副委員長

同志社大学法科大学院アラムナイ・アソシエーション寒梅会会長

関西学院大学非常勤講師、京都大学法科大学院非常勤講師

兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー、神戸市いじめ問題対策審議会委員

 弁護士 松田 昌明

(兵庫県弁護士会所属)    

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